タイのコンドミニアムの間取り(その2) 浴室、トイレに違いあり①

今回は浴室、トイレに関するお話です。
日本のマンションとタイのコンドミニアムの間では大きな違いがあります。
前回も登場した豊洲パークホームズの間取りをご覧下さい。
※豊洲パークホームズ 3LD・K+WIC+S 76.8㎡+バルコニー17.89㎡ 間取図
豊洲パークホームズ
3LDKの間取りでトイレ、浴室がそれぞれ一つの設定となっています。「当たり前じゃないか?」といった声が聞こえてきそうですが、実はタイのコンドミニアムではその辺の事情が大きく異なります。
2ベッドルーム2バスルーム、日本的に言うと2LDKにバスルーム2つ付き、といった感じでしょうか?これはタイでは普通に見る間取りです。加えて、3ベッドルーム3バスルームといった間取りも一般的です。
各寝室にバスルームが1つあるのがタイでは普通の事で全く珍しくはありません。そしてこれはコンドミニアムに限った事では無く、集合住宅及び一軒家全般に見られる設定なのです。
贅沢だね?と言われそうですが、そこら辺はちょっと微妙です。
何故でしょうか?
説明を続けます。
何故浴室では無くバスルームとわざわざ呼んでいるかには理由があります。
タイのバスルーム内には、洗面・トイレ・シャワー又はバスタブが全て収められています。シャワー室がある場合はガラスで間仕切りされていますが、バスタブのみでそこにシャワーヘッドがある場合は間仕切りが無く、カーテンを引いてシャワーを浴びる形になります。
ホテルの浴室などはこのような造りになっているので、そこら辺は違和感なくご理解頂けるものと思います。
タイのバスルームはホテルにある洋式?が基本になっていると言えます。そしてこれが各寝室に一つ設けられているのです。
従来タイのコンドミニアムは、1ベッドルーム70~100㎡、2ベッドルーム100~200㎡、3ベッドルーム200㎡~、といった大ぶりなユニットが普通でした。又、日本に似た土地神話のような意識が強く、土地付き一戸建てのマイホームを持つのがいい、というのが一般的なコンセンサスでしたので、市街地のコンドミニアムは金持ち外国人用レジデンスといった考えが浸透していました。
ですので、90年代に建設されたコンドミニアムでは、住み込みメイドが寝泊まりする部屋があるのは珍しくありません。
そのような時代の大きなユニットであれば、2~3のバスルームがあってもあまりある居住空間が確保できていました。
バンコクを中心にホワイトカラー層が増加し、1999年にBTS(高架鉄道)、2003年にMRT(地下鉄)が運行開始、そういった社会体制の変化を背景に2000年代に入ると都市化が一挙に加速しました。
駅周辺を中心に高層コンドミニアムが建ち並ぶようになり、外国人居住者のみならず、上位中間層以上のタイ人もたくさん住むようになりました。地代が右肩上がりに上昇すると、ユニットのダウンサイズ化が推進されました。
昨今の市街地のコンドミニアムは、一部の超高級レジデンスを除いては、1ベッドルーム30~60㎡、2ベッドルーム50~80㎡、3ベッドルーム90㎡~となり、90年代に造られたユニットの半分ぐらいの大きさが一般的です。
ただ、そんな状況変化の中でも、バスルームの数が減る事は無く相変わらず2ベッドルーム2バスルーム、3ベッドルーム3バスルームが造られています。
そしてこれがしわ寄せとなって、リビング・寝室といった居住空間やキッチンスペースが圧迫される結果となりました。現在では、日本の50㎡の2LDKに比べると、タイの50㎡の2ベッドルームの方がリビング・寝室・キッチンはずっと狭くなっています。又、バルコニー面積も含まれている事は前回説明した通りで、これも狭さに拍車をかけています。
浴室の構造上の違いにも着目する必要があります。
日本では、ボイラーでキッチン、洗面、浴室にお湯を供給するセントラルシステムが普通です。最近のマンションでは、オール電化・格安深夜電力でお湯をつくるエコ○○~、といったものが増えています。
タイのコンドミニアムでそのようなシステムがあるマンションは珍しく、キッチン・各バスルームに瞬間湯沸かし器を設置しお湯をつくるのがほとんどです。こちらの方がずっと割安なのと、亜熱帯気候の為熱い湯に浸かるといった習慣が無い事等がその選択を促したものと思います。
日本では浴室をつくると100万円~といったコストがかかりますが、タイではその半分もかかりません。
但し、スペースは必要なので、居住空間を逼迫させる代償を支払うことになるのです。
次回はタイの多様なバスルームの形態とそのトレンドを見ていきたいと思います。

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