バンコクの不動産価格をどう考えるか?

現地不動産大手CBREのレポートによると、スクムビット中心部のハイエンドコンドミニアムのリセール平米単価は、
2005年 8万バーツ
2010年 11万バーツ 2005年比 1.38倍
2015年 18万バーツ 2005年比 2.25倍
といった具合に絶好調の上昇を続けてきました。
※ハイエンドコンドのバンコク地区別リセール価格(出典:CBRE)
average_resale_price_2015_q2
最近のプリセール物件を見ると、前回のブログでご紹介したノーブルディベロップメント社のNoble BE 33は24~27万バーツ、アナンダ社のAshton Asokeは25~30万バーツぐらいでリセール販売されています。
Noble BE 33 リセール物件のお知らせ
※Ashton Asoke
ashton_asoke
バンコクのコンドミニアム価格がここまで上昇するとは、誰が予想し得たでしょうか?少なくとも僕には全くできませんでした。
「バンコクの不動産は香港、シンガポールに比べてまだまだ割安で、今後も伸び続ける。」といった意見を良く耳にしますが、これにはちょっと違和感を覚えます。僕自身、香港に2年、シンガポールに5年程駐在した経験があります。
自らの経験による実感は横に置いておき、客観的なデータを見ることにしましょう。
※アジア主要都市経済比較
都市比較
バンコクでの一人当たりのGDPは極端に見劣りする結果となっていますが、これはタイ全国平均での数値であり、バンコクのみを抽出すれば既に1万ドルは突破していると見る向きが一般的です。その理屈で言うと、東京都の一人当たりのGDPは都市別ランキング1位ですから、香港、シンガポールを上回っているはずです。
細かい議論は社会学者や経済学者にお任せするとして、先ほどの話、「バンコクの不動産は香港、シンガポールに比べてまだまだ割安で、今後も伸び続ける。」は、果たして十分な共感を生むべき話なのか否か?
僕はちょっと首を傾げてしまいます。「香港やシンガポールと比べるのはどうかなあ?」と懐疑的にならざるを得ないのです?
香港、シンガポールは都市国家です。厳密に言えば、香港は中国の一部ですが、一国二制度の名の下イギリスから返還されています。「以前と変わらない。」と言い切れない部分もありますが、今回の不動産を軸足と議論に置いては、都市国家の前提で問題ないと思います。
シンガポールの国土面積は東京都の3分の1に過ぎず、東京23区の621㎢より多少大きい程度です。香港は、より大きな都市面積となっていますが、香港島側は山がちな為居住エリアは限定的、本土側(九龍側)がフラットなのでより居住に適した地形となっています。
方やバンコクは、香港の1.4倍、シンガポールの2.2倍の面積を有します。加えて、バンコクはチャオプラヤー川によりつくられたデルタ地形の為、とこもフラッットで居住可能です。
以上のデータから香港、シンガポールは、経済規模が大きいのに土地が無いので不動産価格が高い、という事が明確ですし、バンコクは必ずしもその条件に準じていない、と言えるかと思います。
それではバンコクの不動産価格は幾らぐらいが妥当なのか?との疑問が起きますが、残念ながらその問いに僕は正確に答えることはできません。まだ伸び続ける可能性も十分ありますし、現状においてもその伸びに衰えを見出せないからです。但し、現在の経済規模では、香港、シンガポールの背中に追いつく事は無い、は断言できます。
加えて、社会インフラの面で見ても、他3都市とは大きく見劣ります。ひどい渋滞、大気汚染、交通機関‥等、どれをとってもまだまだです。治安に関しても比較にならないぐらい悪いですし、大雨が道路冠水は日常茶飯事、以前に比べて減ったものの停電も多く、インターネットは遅い‥等、日ごろの鬱憤をつい並べてしまいましたが、全て事実です。
上記の様々な事実から、バンコクの不動産価値は他3都市に単純比較される事にどうしても違和感を抱いてしまうのです。
バンコクの不動産販売業者にも関わらず否定的な見方を並べましたが、周囲のバブリーな風潮に踊らされることなく物件を選定すれば、まだまだ優良な投資物件はたくさんあります。
タイ経済は従来ほどの伸びは無く、ブレーキがかかり始めて1年程が経過しています。勿論、その背景には、アメリカの利上げ問題、中国経済の減速、継続する軍事政権‥等があり、確実にタイの景気に深い影を落しています。
バンコクの富裕層投資家がこっそりと手仕舞いに着手し始める中で、手頃な物件が出回り始めています。
今後は折に触れて、そのような投資物件を皆様に紹介していきたいと考えています。
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