プリセール物件の売却と買い取り仲介の違い②

タイで働く日本人にとっての楽しみはゴルフでしょう。平日一生懸命仕事をして、週末はゴルフというのが一般的なパターンです。一体いつ休んでいるのだろうかと思うくらいゴルフ漬けになっている方々をよく見かけます。僕は海外に出たら趣味嗜好品のうち一つをきっぱりやめようと決意して、ゴルフをやめました。
以前は毎週とはいわないでも、月1回は欠かさず出かけていました。いざやめてみると、その後は一度たりとも行きたいと思ったことがありません。元々あまり好きではなかったからかもしれません。
炎天下のタイでのゴルフ、確かにバンコクにいる日本人は右手だけ白い方が多いようです
さて今回は、買い取り仲介を見破る方法について話します。
まず、おさらいの為前回の記事をご覧下さい。
プリセール物件の売却と買い取り仲介の違い①
一般的な不動産取引の決済日。場所は買主が融資を受けた銀行で実施されることが一般的です。必要書類を司法書士に預け、それを確認した司法書士より「書類確認しました」の言葉が出ると全ての取引に対する問題がありませんという合図となり、銀行が融資実行をする流れです。
その中で司法書士は甲区欄に記載される所有者が本人かどうか確認をしますが、買い取り仲介の場合買い取り業者Dの名前は当然甲区に記載されていません。その後も記載されることはありません。もちろん司法書士は、その事実を理解しています。
不動産に詳しい方であれば本来契約の際に確認いただく登記簿謄本の甲区欄に、売主といわれた買い取り業者Dの名がないわけですから、あれっ?と思うでしょう。
ここではうまくごまかす業者も過去は多かったとは思います。ごまかし方も色々ありますが、お客様が不動産に詳しい方であれば、苦しい言い訳の連続になります。そもそもお客様が不動産に詳しいと感じた時点で、悪意の買い取り仲介には話を持っていかないかもしれません。
不動産の売買において重要事項説明には登記簿謄本の内容が記載されますが、所有者欄が売主と異なることが場合によっては有り得ます。この場合売買契約時にそれを証明する必要があります。よって所有者が異なった場合、契約書上の売主に所有権は移るのかと確認すると良いと思います。移った段階で所有権移転後の謄本を見せてほしいといっておくことです。
もし買い取り仲介を隠しての売買であれば、この言葉で太刀打ちはできなくなるはずです。苦しい言い訳となるでしょうが「実は…。」となるはずです。
ただ、全ての業者が隠している訳ではなく、中にはしっかりと説明している業者もあると思います。悪の温床のような書き方をしてきましたが、住宅ローンの支払いの逼迫や、事業がうまく行かない中の急な資金の必要等において、不動産売却は最後の砦といっても過言ではありません。
競売担当の際も経験しましたが、今後事業等を立ち行かせることが難しいと理解していても、家だけは守ろうとする姿を幾度となく見てきました。競売担当時は見て見ぬフリをしなければならない場面も数多くありました。
上記のような状況下で即座に資金が必要な場合、買主がすぐに見つかるような内容な家、金額であることが条件となりますが、買い取り仲介により買い取りよりも高値が付く可能性が高いため、実際は助けられる部分もあると思います。
例えば、一般相場として売却できる可能性がある物件であれば、不動産業者として売主が売却しなければならない期限は理解しているはずですので、その日まで一般に売りに出して期限内に売却できなければ、このような方法がありますと買い取り仲介の説明をすればまだ良いのではと思います。
即金が必要な方はそれなりの事情があるわけで、それを省みず自らの利益に走った業者が多かったといわざるを得ないのだと思います。
プリセールは?
購入した額より価格が上昇することにより、物件完成前に購入権利を売却し利益を得る事ができます。その時点で登記はされていないので、日本的に言うと横流しに近いものですが、タイでは極一般的投機方法です。
買い取り仲介の場合は、不動産業者が利を得る手法ですが、プリセールの場合は誰に迷惑をかけることもなく自らの判断で行います。2次、3次の購入者も次のような狙いで購入に踏み切ります。
① まだ価格が上昇すると判断した場合
② 完成後、賃貸に出し高い利回りを期待できる場合
③ 自ら住む場合。タイ人の場合このパターンが増えてきています。
プリセールの場合1次価格が最も安く購入できることがメリットで、デメリットはどのように価格が変遷していくかが掴みにくい事となります。
2次以降の購入者であれば、1次での人気の上がり具合を観察できるので上記①②の内容となると捉えた場合購入するわけですが、1次価格よりは高い買い物となりますが、見通しが効く分安心度も増します。
結論として、登記をしないで売却するというところだけが似ていて、内容は異なるものです。感情的には全く異なるものといっても良いでしょう。
僕が日本を出るときには買い取り仲介は銀行融資が降りない等コンプライアンスも含めてとても厳しい環境となりました。買い取り仲介の為の物件購入の資金を銀行が業者に融資することもなくなれば、それを購入する方への住宅ローンも取り扱いがなくなったはずです。
僕は日本を出るときの情報であったので、現状は定かではありません。
全日本不動産協会のWEBサイトに買い取り仲介についての内容がありますので参考までに
http://www.zennichi.or.jp/low_qa/qa_detail.php?id=398
実際に今回の内容を書いたのは、何人かの方に買い取り仲介と似ている言われたことが契機となりました。適正であるプリセールの手法を勘違いして欲しくなかったのです。
ヨシダ不動産が作成中のホームページに掲載する予定であるプリセール物件の説明について下記に付け加えておきます

プリセール物件とは?
プレビルド物件、プロジェクトセールス物件等とも呼ばれますが、建築前のコンドミニアムの先行販売を意味しています。
購入の流れ
新規コンドミニアムプロジェクトの発表

先行販売の告知

先行販売時に購入希望の物件を予約

購入契約締結

物件完成まで分割払い

物件完成後の残金一括払い

物件完成後の登記
————————————————
新規コンドミニアムプロジェクトの発表
 テレビ、ラジオ、新聞、ホームページ、ダイレクトメール等のメディアを通じて幅広く告知されます。
 プロジェクトのコンセプト、ロケーション、建築プラン、フロアプラン、ユニットの間取り、家具・家電付き等の条件、販売価格帯等の詳細がホームページで閲覧できるようになっています。
先行販売の告知
 メディアを通じて幅広く告知されます。
 メンバー登録等をしておくと、電話にショートメッセージで知らせてくれたりします。
先行販売時に購入希望の物件を予約
 購入予約フォームを記入し、ディベロッパーに予約金を添えてお申込み願います。クレジットカードでの支払いも可能です。
 予約金は2~5万バーツが一般的です。
 お客様の都合で契約を破棄した場合は、予約金は返金されません。
 人気物件の場合、最初の売出しから、物件建築工事開始、物件完成と進むにつれて、販売価格が上昇します。売出し当初の価格が最も安く設定されるのが一般的です。
購入契約締結
 契約書の作成時に、購入金額の3~15%の頭金をディベロッパーへ支払います。海外送金による支払いが一般的ですが、タイ現地での支払いが可能な場合もあります。
物件完成まで分割払い
 物件価格の15~40%をディベロッパーに毎月分割で海外送金にて支払います。一括払いに支払いプランを変更する事も可能です。
物件完成後の残金一括払い
 物件価格から既に支払った合計額(予約金+頭金+分割払い金)を差し引いた額(物件価格の60~85%程)を海外送金にてディベロッパーに一括払いして頂きます。
物件完成後の登記
 指定の登記所にて購入物件の登記を行います。
 登記費用は物件評価額の2%です。(注1)
 修繕積立金を支払います。
 登記直後から管理費の支払いが生じます。
注1 )パタヤの場合は物件購入額の2%
プリセールの物件を転売する投資手法
多くの投資家がプリセールで物件を購入し、物件を土地局に登記する前に転売します。コンドミニアムを購入して完成したら所有し賃貸収入を得る、といった一般的な方法では無く、人気の出そうな物件に照準を定め、プリセールにて購入権を獲得し、値上がりを待って登記前に売り抜ける、といった投機的な手法となります。
購入したコンドミニアムが人気物件となり転売価格が上昇すれば、予約金+頭金+転売するまでの分割払い金のみの元金で利益が得られますので投資の資本効率は高いものとなりますし、過去10年を振り返るとバンコク中心部、パタヤのビーチエリアのほとんどの物件は初回の売出しから値上がりしています。シラチャも直近の5年間はバンコク同様、又はそれ以上に上昇しました。売出しから完成までの間に1.5倍ぐらいの価格上昇をした物件は少なくありませんし、その後も上昇を続け価格は2倍以上になったといった物件も確かに存在します。この期間のコンドミニアム購入者の多くは、プリセール物件購入⇒所有して賃貸へ、プリセール物件購入⇒登記前に転売、のどちらの手法においても、キャピタルゲイン、インカムゲイン、又は両者を手にしたものと思います。
但し、人気物件の場合は、プリセール開始⇒即日予約完売、となる場合が少なくありません。プリセール物件を購入希望の場合は、信用のおける不動産業者に予め打診しておくことをお勧めします。
プリセール物件転売一例
1ベッドルーム40㎡ 30ヵ月後完成予定
売り出し価格 300万バーツ
【支払い条件】
予約金 2万バーツ
頭金 20万バーツ
分割支払金 2万バーツ X 30ヵ月
一括払い残金 218万バーツ
12ヵ月後価格 350万バーツ
支払済み 46万バーツ
売却益 50万バーツ
投資利益率(ROI) 109%
24ヶ月後価格 400万バーツ
支払済み 70万バーツ
売却益 100万バーツ
投資利益率(ROI) 143%
プリセール物件転売の税金と諸経費
土地局に登記する前の転売の為、ディベロッパーのデータ登録が変わるだけですので税金は発生しません。但し、ディベロッパーによっては、一定期間の転売を禁止したり、転売手数料を取ったり、といった場合がありますので、購入時に十分な確認が必要です。
プリセール物件転売による投資のリスク
プリセール物件の転売は勝負が早く、少額資本で利益を生むことは確かなのですが、当該物件の人気が出て転売価格が上昇する、といった前提条件が欠かせません。不人気物件を購入した場合は、価格上昇どころか完売する事も無く、逆に値下がりの憂き目に会います。その際には、登記前に支払い済みの金額を放棄し物件購入をキャンセルして損切りするか、残金全額を支払い登記して賃貸に回す、のどちらかの選択を余儀なくされます。
又、非常に稀にですが、プリセールを行ったディベロッパーが完成前に倒産する、建築を中止する場合もあります。その際には支払い済みの金額が返金されない、返金に長い時間を要する、といった問題が発生しますので、社会的に信用のある優良ディベロッパーからの購入が不可欠です。
タイの不動産投資の景況感は今現在(15年1月15日時点)も好調ですが、経済情勢による市場の変化はいつでも起こり得ます。プリセールの転売に照準を当て投資する場合には、十分な情報収集を行い、マーケットに精通している信用できる不動産業者のアドバイスを聞き、極力リスクを減らしてから実行する事が重要です。

次回延び延びとなっていたシラチャ期待の日本人居住区の物件『THE SKY』売買情報ご説明いたします。
というものの、タイではソンクラン(タイのお正月休暇)に入りますので、次回の掲載は20日になります。引き続きのご購読をお願いします。

おすすめ