東洋ゴムの免震不正。タイの場合は?

さて今回は東洋ゴム工業の免震不正 について、と言いたいところですが特にそれをどうのこうの書くつもりはありません。
タイでコンドミニアム購入を考える人に伝えておくべき、タイの習慣的な要素です。
そもそも日本の地震発生回数は、2014年データでは体に感じる感じないの全てを含めて1977回。最も多かった11月では242回発生しています。
先日放送した『緊急!池上彰と考える 巨大地震その時命を守るためにⅢ』というテレビ番組を見入ってしまいましたが、地震が発生する度、日本地図の上に時系列で赤いランプが点灯する場面では目を疑った方が多いのではないでしょうか?それほど頻繁に地震が起きているわけです。
僕自身は地震、雷、火事、親父の中で、恐れていたのは地震と親父で、親父は怖く厳しい反面大きな尊敬の念を抱いていますが、地震に対しては尊敬なんて全くもてません。大嫌いです。少しの揺れを感じるだけで、逃げ出したくなる状況です。
しかしタイではそれすら感じることがほぼありません。ここ数年は地震が起きたときのドキッとする
感情を全く経験していません。大げさですけど地震を感じるたびに死を考えるほど大嫌いです。
そのような状況下タイの建築物は免震についての考えは大きく日本とかけ離れていると思います。タイ人に聞くと「地震がないから不必要」という答えです。いかにもタイ人らしい答えです。
その他にもタイ人に今後不動産価格が下落したらどうするの?的問いにも「落ちたこと無いから大丈夫」。いかにもタイ人らしい答えです。
日本の場合、耐震についての考えの変容を見ると、1981年の耐震基準改正、1995年阪神淡路大震災、2005年姉歯構造計算書偽装、忘れもしない2011年東日本大震災、といった出来事が列挙されます。
各分譲主やゼネコンはそれぞれ法に順ずるもの以外でも、安心を提供できる技術開発を続けてきました。
しかしその結果、それに順じた資材を用意するためのコストアップ、新たな技術開発、その全てが高騰しました。しかしそうしていかなければ売れない。用地も安く仕入れることもままならない、コストUPしたからといって容易に売値をUPすることはできない。
分譲主には頭の痛い状況が続いているわけです。
場合によっては高級ブランドマンション的ネーミングで億単位の物件の成功例もありましたが、それも万人が購入できるわけではありません。
一方タイでは地震が無い影響下、日本のように免震にかかるコストも大きく必要なく、まだまだ安い人件費に資材等、ディベロッパー側に有利な状況となっています。安普請な新築コンドミニアムもありますが、それでも売れていく現状です。
分譲発表時に最も価格が安く、その後上昇するなんて日本では考えられないことですね。タイでは人気が上がる(価格が上がる)と判断されると、発表時には徹夜組が現れる状況です。
以前紹介した
【速報】パタヤのジョムティエンビーチフロントに超高級コンドのプリセール発表会
【速報第2弾】3月28日パタヤコンドミニアム先行受付開始

まさにその可能性を多大に感じる物件です。
この発表会においてもタイ人らしさは発揮され、13時開会なのにほぼ誰も会場入りしていません。この発表会に集まった我々日本人同業社は日本人らしく開会時に席についていたのですが、スタートしたのは40分を過ぎたあたりでしょうか?しかしその際には700名前後の来場者でほぼ満席状態でした。
3月28日に発表の当物件は、先行予約として発表会出席者に第1期発表分のうち200室分が割り当てられ、残120室においては徹夜組が出る予想となっております。
このように価格上昇の可能性が極めて高いと判断された場合、今までは実際その通りになる事が多かったので、利益を得るプラチナチケットを得る為に徹夜をしてでも並ぶわけですね。
気がつけば
※気がつけば弊社前に広告が
一度日本語を話す元同僚を介してタイ大手仲介会社と耐震性の話に及んだことがありますが、ほぼ関心を持っていないというか興味がないという感じでした。
1997年のアジア通貨危機の際に建築中止となった建物がそのままの姿で廃墟化している姿を見受けますが、20年近く経過した今でもあまり構造の変化を感じません。
弊社近く
※弊社近くの廃墟ビル
多分、今回のような東洋ゴム工業の耐震不正が生じたとしても、タイ人にとってはどこ吹く風で地震がないのにそんなことして意味あるの? このような答えが返ってくるのではないかと思います。
特に日本で危ないとされる1階2階等の低層階が駐車場である場合、壁量が少なく倒壊の可能性も高いとされていますが、タイではこの形が当たり前です。コンドミニアム含めアパート等もほぼ全体的に駐車スペース1台が無料となっていますので、駐車場の確保は重要課題です。
高度規制の緩やかなタイにおいて、30、40、50階建ては日本に比べれば圧倒的に数が多いので、オフィスビルも含めて高層物件であれば、6~7階くらいまでが駐車場となるのが一般的です。そこには車が上がり下がりする坂が設けられますので強度確保というのは難しいでしょう。
タイのコンドミニアムの売買を生業とする弊社が、このような記事を書くと不安を煽り立てているように感じるかも知れませんが、実は逆で地震のない国って幸せだなと思います。
タイ全体では僅かながら地震は起きていますが、ことバンコクとなると有感地震といわれるものは300年以上起きていないと言われています。
これは日本を出たからこそ、日本を客観的に見られるわけで、地震対策のために常に研究開発、新しい技術の構築をしていく必要があるわけで、その結果とても頑強な建物を生み出しました。流石日本の技術力だと思います。
しかし町にはまだ既存不適合住宅や、今にも倒壊しそうな空き家、どんなに強固な建物を作り出しても妨げられない原発の恐怖。
タイでも原発推進計画がありますが、日本的に見て考えられないのは、原発候補地となっている場所の住民反対が比較的少ないとの記事を見ました。これは日本では考えられないですね。
原発においても地震がなければという考えは成り立っているのか、そこまでのタイの現状はわかりませんが、少なくとも確率で言えば、地震の影響で原発が何らかの影響を及ぼすことは少ないわけで、そのあたりは安心材料になると思います。
上記のような意味において、地震がないのでチキンの僕も死を感じることも全く持ってなければ新たな技術開発に費やす時間も経費も少なく、やはり建築物の構造等において躍起になっていたり、新たな法律が出来る度調査を行い、売買契約時の重要事項説明書の枚数が増えていった状況から見ると地震がないというのは幸せだなと思います。
確かに東日本大震災後、原発の難を逃れてタイに来ているお客様や、花粉の季節は毎年タイなのだよという方は、実は結構な数に及びます。先日お会いさせていただいたお客様は、日本在住ですが次に住む場所、拠点となる場所を求めてタイ周辺国を回り調査をしているのですが、相当タイが大好きになってしまったようです。
バンコク出張が頻繁で、ホテルを借りるなら購入してしまったほうが良いと思われている方等、全ての方が投資目的でタイに来ているわけではありませんし、ヨシダ不動産ではお客様のニーズにあった物件をご用意したいと思います。
現状で一ついえることは、どのような購入の仕方をしても現在の情勢やタイ人のコンド購入ブームそしてバンコクまたは周辺におけるいたる所でのるところでの開発事業や鉄道敷設においての不動産価格の上昇といった状況は継続し、将来的に不必要になり売却を考えたときも現状以下の価格になる可能性は窮めて低いと思います。
しかし今後は必ずコンドミニアムにおいても勝ち組負け組みが出てくるので、その見極めは重要です。
最後に偉そうなことは言わせていただくと、僕の人生訓に「ツケは回る」があります。東洋ゴムを擁護するわけではありませんし、擁護できる内容はないと思いますが、日本のディベロッパーに在籍していた頃もぎりぎりの判断をする場合は少なくありませんでした。もちろん法を侵すような判断は却下していましたが、これくらいであれば誤魔化しは利くのではないかとか、予定していたコストをオーバーすることで何かを削らなくてはいけない、という局面は多々あります。又、変更点は一般の方にはわかりにくいところだから黙っていよう、とか仕事をしている以上誰しもジレンマに駆られたことはあるはずです。
幸い僕の在籍していた会社は、いかなる場合も約束事を捻じ曲げることはNOで、止むを得ない変更が生じても、コストが上がろうが利益が削れようが、品質は落とさないという絶対条件がありました。
その結果創業50年ほど経過した今でも品質面におけるお客様からの信頼は厚いと思います。
しかし今回の東洋ゴムの件は、姉歯事件同様構造の根幹に携わる部分で、命や財産に関わることです。
そこにいたるまで社内でもたくさんの紆余曲折や議論も喧々諤々とあり忸怩たる思いの方もいたと推測しますが、やはり超えてはいけなかった部分ではないでしょうか?これだけ連日報道されている中、先人たちが積み上げてきた信頼は大きく揺らいでしまったでしょう。ツケが回ったということですね。
タイ人の場合はどうなのでしょうか?いや言い換えれば、もし日本がタイ同様に地震の極めて少ない国であったなら?
勤勉な日本ですから危機管理意識は間違いなく強いと思いますが、過去を紐解くと震災や事件後に変化してきた歴史背景ですので、今ほど進んではないでしょう。
タイ人の場合は日本人にいくつもの輪をかけてマイペンライ。どうにかなるさ精神なので、大手ゼネコンを中心に建物の頑強さは増してきている部分はありますが、大きな刷新についてはこれからもあまり多くは期待できません。
反面、耐震等にコストがかからない分、見栄えやプール等のファシリティの贅沢さに大金を投じており、そこがタイのコンドミニアムの魅力となっています。

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