日本の空室事情 その2

税制比較と地震といった側面から考えてみます。
前回のブログにて空き家の話をしてきましたが、僕はそのような現実に直面していないので、ある意味気軽にこのような文章が書けるのですが、実際直面していれば果たしてどの様な心持になり、又それからどのような行動に移すのか、考えてみました。
その立地や、土地の大きさ等にもよるだろうし、自らの懐具合によっても変化するだろうし、一概に言える内容ではないのですが…。
周囲の状況を考えないとして、都心に近い立地、土地面積100㎡以内、駅から徒歩10分以内であれば、建て替えを検討する十分な条件だと思います。
しかし、そこには相続税その他税金も考慮しなければなりません。ましてやそのような坪単価の高い土地に空き家のままの状態であれば、固定資産税は居住用資産としてみなされず、高い金額となり、マンションであれば仮に住宅ローンが終了したとしても、管理費修繕費等は支払い続けていかねばなりません。
持ち主の両親に支払能力がなければ、負担は子供たちや他家族へ向かい、そこに頭を悩ませている方も多いでしょうし、売却するにも相続が絡み面倒な状況に陥っている方も多いでしょう。
何故100㎡なんてある意味慎ましやかな面積かというと、親が残した偉大な資産となる土地が、大きければ大きいほど、または価値が高ければ高いほど相続税は高くなるわけで、支払い義務者の相続人たちに支払能力がなければ、せっかくの大きな資産を財務省に物納しなければなりません。
そこにタイの土地神話が崩れず、下落の歴史がほぼ起こってこなかった状況があり、現在相続税、固定資産税の導入が可決される可能性が高いのですが、現時点まではどちらも存在せず、取得したまたは親から受け継いだ土地をそのまま引き継ぎ持ち続けている現状です。
仮に相続税があり、支払能力がなく、財務省に物納しなければならなくなるような日本と似通った現状であれば、大きな土地が売り買いされ積極的な購入活動も見られたと思いますが、タイには相続税、固定資産税がなかった為土地を持つこと自体に負担がかかる事が無かったわけです。
よって一度土地を持つと手放すことも少ない中、購入した当時より2倍、3倍、場合によってはそれ以上上昇している状況です。
可決されそうな固定資産税、相続税の内容を弊社ヨシダがまとめましたので参照ください。税率だけ見ると、相続税は実行最低額が高く設定されているので心配する必要はないと思います。

税金とその他諸経費
タイの不動産投資関連の税制に関して
タイ税制の見直しをすすめる軍事政権(2015年1月7日現在)

出典:日本経済新聞WEB版(2014年11月19日の発表)
相続税も固定資産税もゼロといった富裕層にとっては非常に有利な税制策がこれまで取られてきたタイ。昨年の軍事クーデター以来、軍部が政権を掌握している中、このような富裕層優遇の税制策にも見直しをすすめています。不動産投資においても税制は大きく関連する事柄だけに、税制の現状、今後見込まれる変化等を正確に理解し、投資判断に反映させる事が重要です。
不動産投資に関連する税制と諸費用
 固定資産税
0%
*現在導入を国会にて審議中。法案成立後、住宅の場合は評価額の0.1%となる見通し
 相続税
0%
*現在導入を国会にて審議中。法案成立後、住宅の場合は資産評価額5,000万バーツ、2014年12月20日時で約1億8千万円相当が課税対象で、税率は5~30%になる見通し
 売却益課税
売却益課税は無いが、BUSINESS TAXとWITHHOLDING TAXが課税されます。詳細は次の通り。
 BUSINESS TAX
売買価格又は政府評価額の高い方の3.3%
*注)所有期間が5年以内の場合のみ発生
 WTHHOLDING TAX
所有年数と金額により税率は異なる。売買価格又は政府評価額の高い方の額に対して、決められたスケールに基づいて課税される。詳細は次の通り。
所有期間 係数
0~1年 92%
1~2年 84%
2~3年 77%
3~4年 71%
4~5年 65%
5~6年 60%
6~7年 55%
7年~ 50%
(売買価格-売買価格 x 係数) ÷ 切上げの所有年数 = 不動産所有年間所得
不動産所有年間所得 税率
0~10万バーツ 5%
10~50万バーツ 10%
50~100万バーツ 20%
100~400万バーツ 30%
400万バーツ 37%
WITHOLDING TAX = (年間所得10万バーツまで x 5% + 年間所得10万1~50万バーツまで x 10% + 年間所得50万1~100万バーツまで + …… ) x 切上げの所有年数
 登記費用
政府物件評価額の2%(購入側の負担は1%が一般的)
*パタヤでは売買価格の2%(購入側の負担は1%が一般的)
 印紙税
売買価格又は政府評価額の高い方の0.5%
*BUSINESS TAXが適用される場合は不要
 家賃収入に対する所得税
経費を差し引いた収入に対して10%。
*コンドミニアムオーナーで企業との法人賃貸契約をしていない限り、申告及び納税をしている物件オーナーはごくわずかです。
不動産売却時の税金と諸費用の計算例
中古物件の売買にかかる税金と諸費用の計算は少々複雑ですので、幾つかの例を参考にして下さい。尚、買主と売主の税金、諸費用の負担割合に関しては法律による規定が無く、折版、売主全額負担、買主全額負担‥等、交渉により決まるのが一般的です。又、ディベロッパーから直接新築物件を購入する場合、買主は登記費用のみの負担となります。
例1) 2年10ヶ月所有したコンドを100万バーツ(政府評価額90万バーツ)で売却
登記費用 900,000 x 2% = 18,000バーツ
印紙税 0バーツ
BUSINESS TAX 1,000,000 x 3.3% = 33,000バーツ
WITHHOLDING TAX (1,000,000 – 1,000,000 x 77%) ÷ 3 = 76,667
76,667 x 5% x 3 = 11,500バーツ
合計 62,500バーツ
例2) 5年10ヶ月所有したコンドを100万バーツ(政府評価額90万バーツ)で売却
登記費用 900,000 x 2% = 18,000バーツ
印紙税 1,000,000 x 0.5% = 5,000バーツ
BUSINESS TAX 0バーツ
WITHHOLDING TAX (1,000,000 – 1,000,000 x 60%) ÷ 6 = 66,667
66,667 x 5% x 6 = 20,000バーツ

※コンドミニアム売買の税金と諸経費
しかし日本の場合、空き家問題は今後深刻化していくと思いますので、そのまま放って置いてよいというわけにも行かなくなってくるのではないでしょうか?
特に一戸建ての空き家は1981年以前に建築された物件がまだまだ多い現状です。1981年は新耐震基準での建築基準法が施行された年で、それ以前の新耐震基準にそぐわない建物は既存不適格住宅と位置づけられました。
住宅ローンにおいても借り入れ年数について、中古一戸建ては厳しい審査の元に判断され、特に1981年以前の建物について各金融機関は基準を設け、その規定の数字詳細は失念してしまいましたが、築15年前後それを超えると、35年ローンを借り入れることはほぼ不可能でした。
また必要書類として建築当時の建築確認書を求められ、それを保管している家自体少なく、所持、保管なき場合は役所の建築指導課にて取得することも可能でしたが、まともに建築確認を取らずに建築されていた家が多く、実際に役所に行っても届けられてなく取得出来なかった場合の方が多かったように思います。よって建築当時の建築確認がなければ、都市銀行での融資は難しく金利の高い金融機関での受付となりました。
倒壊の危険性大
都市銀行としては、倒壊する可能性のある特に1981年以前の建物には簡単に大金は貸せませんということです。
この既存不適格住宅と現行の建築基準法にて大きく異なるのは、筋交いと金具の強固さです。元々三井ホームを中心に輸入されるまで、ツーバイフォー工法(枠組み壁工法)は日本には浸透が少なく殆どの建物が在来工法(木造軸組構法)による建築が一般的で、皆様良く見ているであろう柱を中心に建てられている家が主流となっていました。

※在来工法とツーバイフォー
知らない方も多いでしょうが、日本のツーバイフォーの歴史は三井ホームなしには語れません。
耐震性、耐火性に優れたツーバイフォーは昭和49年頃に技術基準が認められ登場しました。優れた耐火性は延焼中の家事がツーバイフォーの家で堰きとめられた例もあり、阪神淡路大震災や新潟中越地震にも耐え抜いたこの工法、僕が日本で従事していたときにも、ツーバイフォーであれば無条件に35年ローンを組めた金融機関が多かったと記憶しています。
よくタイで物件を購入される方の質問で多いのは、「タイの耐震性は?」ということです。これについては、地震大国日本に住んでいられる方であれば当然の疑問だと思います。
大きな地震としては、2014年タイ北部のチェンライにてマグ二チュード6の地震がおきました。バンコク若しくはその近郊では、ほぼ体に感じる程度の地震でさえ長い歴史上皆無に等しいといっても過言ではないでしょう。
よって耐震基準というのは、日本と比べれば大きな隔たりがあると思います。専門家ではないので詳細までは記せませんが、今まで日本で見てきた構造とは見た目で明らかに異なることがわかります。
3年強タイに居住する僕が地震かな?と感じたのは、2回程度であったと思います。地震と明らかにわかる揺れを感じたことは、未だかつて一度もありません。
必ずしも大きな地震がないとは断言できませんが、地震事情についてはタイでの購入に際し心配する必要はありませんし、タイでも議論されることはありません。
日本の話に戻りますが、柱と柱、または梁の部分を結ぶ筋交いの規定も既存不適格住宅では、現在と比較すれば弱い強度で、それらを締める金具(ボルト)も今ほど強固なものではなく、地震の多い関東では当時からも自ら強度のある筋交いや金具を利用している真面目な工務店も多く見受けられました。
神戸の震災後、関東の取引建築業者もこぞって調査を実施しましたが、同様の震災が関東で起こっても神戸ほどの被害はないだろうと予測している方もいました。
しかし空き家の状況を見ると既に半壊している家もありますね。その多くは明らかに1981年以前の建物ではないかと思えます。
大きな地震があるたびに日本では一戸建てのほうが安心といわれる方も多くいましたが、マンションも含め免震技術は世界の中でも日本は秀でていると思っています。

※タイのコンドミニアム建築現場
日本のディベロッパーとしては、昨今の建築資材の価格の高騰はとても頭を悩ましているところです。しかも免震技術においても大きなコストがかかります。タイにも日本のディベロッパーが進出してきて、日々打ち合わせを重ねている現状ですが、資材関係の調達も安く、日本に比べれば低コストにおいて豪華な資材を使用し見栄えの良い建物が造れ、且つキャピタルゲイン、インカムゲインを高い可能性で望めるとあれば、日本の土地が安くない現状、今後日系不動産業が進出してくる可能性は高いのではないかと思います。
とかく最近ディベロッパーに限らず、弊社に相談に来る日系不動産業者が増えた印象があります。
タイは地震がない分かかるコストは安く、しかも日本では高額な大理石や御影石も安価で仕入れることが可能ですので、例えばあまり人気のない成約しづらい物件でも、日本では高級とされる資材をふんだんに利用しとても豪奢な雰囲気のする室内に生まれ変わらせることにより、人気の王道を行く物件よりもその物件で選択したという事例が多々あります。
僕ら営業としても、案内した際にそのような部屋に当たると内心ラッキーと思います。
日本でもリノベーションしての再販は一時の流行ではなく完全に定着し、それを手がけた会社は多数上場しました。確かに再生事業によって生まれ変わった部屋は、衰えてきた外観に比較して格段に綺麗な部屋となっていますが、タイの場合家具付きとなりますので、高級資材をふんだんに利用した上高級且つおしゃれな家具が配置される空間は、日本ではあまり見られない贅沢感を与えます。そのような部屋を運良く借りることが出来た駐在員たちは、プチセレブ気分を満喫しています。
次回はそのような部屋を例にとって、家賃等もどのような変化があるのかを書かせていただきます。
そしてスクンビット39にそこまでのレベルの内装にはなりませんが、リフォーム後引渡しする日本人居住区でフジスーパー2号店至近の物件に関しても、間に合えば併せて紹介いたします。
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