地価が上昇する条件。バンコクと日本の状況を照合してみる①

今頭を悩ませているのは飼い猫のジュリに去勢手術をするか生ませるか?以前から猫派の僕は一度生ませてみたいと思っているけど、日中家にいない僕がどうやって面倒を見るのか?
そんな相談をしたところ弊社タイ人スタッフからFACEBOOKを通して売ってあげる、との申し出。1匹だけ残して後は売るかぁ。それも手だけど僕は涙もろい面があり、離れ行く子猫を見るなんて想像も出来ないし多分号泣してしまうでしょう。
やはり去勢手術だろうか?いつまでも判断しないと猫が苦しそうだから決断しなければ、思い悩む事が絶えない今日この頃です。
さて今回は地価が上昇する条件について、今まで経験してきたことを例に挙げて僕なりの分析をしてみました。
そうそう、思い出すのは2005年に開通したつくばエクスプレス。秋葉原から浅草、北千住を抜け東京でもマイナーな足立区を通り(居住者の方ごめんなさい)、柏を抜けつくばへと辿り着きます。特に浅草は駅を出たところが『浅草六区』ですので、寄席好きな方、お酒好きの方には『煮込み通り』も近く、嬉しい場所に駅が出来ました。
上記どの駅においても、JR常磐線、千代田線、東武伊勢崎線等主要路線があるのですが、つくばエクスプレスは今まで路線のない場所に開通した影響で、それまで安かった途中駅の青井、六町辺りがその当時の地価上昇率№1となりました。
特に茨城に入った快速停車駅の守谷は、早くからディベロッパーが分譲合戦を行い、茨城とは思えない価格で大中小マンション用地を争って購入していたものでした。
秋葉原まで30分程度で到着することと、つくば学園都市に就業される方を中心に好調な売れ行きでした。
何もなかったといっては失礼ですが、青井、六町周辺は都心へ行くのにもバスで主要駅へ向かわねばなりませんでした。ギリギリ千代田線の単線北綾瀬駅に歩ける場所もある事はありましたが…。その後2008年に開通した日暮里舎人ライナーは、23区内で最も都心へのアクセスが不便といわれたうちの一つでした。その地域に電車が開通したわけで、この周辺は一戸建てディベロッパーがあちらこちらと分譲を初め、さしずめ新築一戸建て分譲だらけという町並みでした。
特にこの地域の方々は、主要路線駅へ行くのにバスで日暮里、もしくは西日暮里に行く必要があったわけです。友達も住んでいましたが、距離があり、しかも通勤時間は渋滞が大変だったので、この電車が神様に思えたといっておりました。それで両沿線共に地価は一時期急上昇したのですが、現在は落ち着いており、東京23区内では購入しやすい価格帯です。
もちろん両線共に電車が開通する前より現状の地価は上昇しています。結果やはり最も恩恵を受けたのはターミナル駅である日暮里、西日暮里だったわけですね。
その場の景気の左右や新路線敷設の影響によって住宅地の地価が上昇したという現象は過去にもたくさんありますが、ターミナルや生活利便性がとても高い場所でなければ、いつかは本来あるべき価格に落ち着くということだと思います。
逆を捉えれば地価上昇率№1ということは、そこに行き着くまでがそれほど安かったということです。
東京23区内で、元々電車が通っていたのであれば地価上昇率№1になるわけはなく、現状この周辺、リーマンショック後は落ち着いて、東京都でも安価で購入できる立地となっています。上記沿線拡大となるまでは確かに安かった=不便だったということです。
さてバンコクを振り返れば、それと同じ臭いがプラカノン、オンヌット周辺に感じてしまいます。何度も書いていますが、どうしても解せないのです。エカマイ駅とプラカノン駅の間にあるたった一駅での大きな価格差です。
これは何度も日本で見てきている現象ですが、どんなに都心に近い場所でも、買い物環境等町並みが整っていなければ人気も地価も近隣の整った町に比較すると下回っています。一つ例を挙げると東西線南砂町駅。東陽町と西葛西の人気駅の中間です。
一般論であれば、東京の場合都心に近づくほど地価は上昇していきますが、この南砂町は前後2駅に比べ圧倒的に乗降客数は少なかったのです。僕自身はこの駅とは何ら関係ない場所に住んでいたのですが、友人が住んでいた為度々お酒を飲みに訪れていました。もちろんその場合は電車を利用します。
友人の家に泊まったとしても、朝のラッシュ時に利用する場合、東西線は1~2分に1本のペースで電車が来るのですが、常に超満員です。しかし南砂町駅だけはホームに立っている人がまばらにしかいません。電車に乗るときは、どんなに混んでいる場合でも降りる方がいるのでその分乗れるわけですが、この駅は降りる人がほぼいないので乗り込むときも、乗客から乗ってくるなよ的、目をされる場合も多々有り、南砂住民はやはりその雰囲気を感じ取っていたようです。
駅を降りると工場だらけという町ですね。そして古い公団住宅。東京3大商店街の砂町銀座は有名ですが、南砂町から歩いていくのはとてもしんどい距離です。よって買い物も不便な町でした。今や見かけることも少なくなった昭和下町的商店が大活躍だったのではないでしょうか?現在もその名残のお店があります。銀座や大手町までもたいした距離ではない中心に近い立地ですが、必需品はマイカーでした。
ところが2005年前後から大規模開発マンションが続々と完成し始めて、特に駅5分の『グランエスタ』は東西線沿線最大規模といわれており、20階建て671戸数のビッグコミュニティです。それでも20階建てですから、バンコクの高層コンドと比較すると低く感じますね。

※南砂町マンション群
2008年に『SUNAMO』という大型ショッピングセンターが完成するのに合わせ、新築マンション建設ラッシュが起き、人口が急激に増えて、地価も当然のごとく上昇しました。

※SUNAMO
現在、『グランエスタ』が築10年ほどで80㎡前後のタイプが4000万円台後半で推移しているところを見ると、多分分譲時より高額若しくは同等ではないかと思います。商業施設等が整っていれば東陽町と西葛西の中間の地価であっておかしくない立地であったので、開発完了後には西葛西同等か、プラスアルファほどの地価になったわけです。商業施設がないままに住宅だけが整っていても、この数字はありえません。

※グランエスタ
以下南砂町の乗降客数の変化です
2003年 20730人
2005年 22649人
2008年 28000人
緩やかに上昇し
2013年 61014人
一気に上昇しました
因みに2013年東陽町駅乗降客数127,804人、西葛西駅97,751人。実際には居住者としては西葛西の方が上回ると思いますが、東陽町はオフィスも多く上記のような差となります。
同様に近隣の勝どきや豊洲、有明を筆頭に湾岸エリアは大きな変化を見せ、軒並み地価が上昇しました。勝どきや豊洲、お台場の新築、築浅物件派は高収入者でなければ簡単に購入できない町へと変化しました。
僕たち不動産業者の常識の中に<strong>家を買うなら湾岸地域を買えというのがありまして、例えば千葉から東京であれば幕張、新浦安、舞浜、葛西臨海公園、南砂、勝どき、豊洲、東雲、有明、お台場と東京の多くの開発は湾岸を中心に施行されています。
それ以前であれば佃、汐留あたりでしょうか?汐留が国鉄の貨車基地であったことは有名な話ですね。とても住むような街ではなかったのですが、複合商業モール『カレッタ汐留』が出来、日本テレビの移転等で今では憧れの町へと変貌しています。
湾岸地域以外でも防衛庁跡地の六本木ヒルズ、ビール工場跡地の恵比寿ガーデンプレイスがあります。しかしこの2地区周辺での開発はかなり行き詰まりに近いのではないでしょうか?
湾岸はまだまだその可能性を秘めています。例えば越中島。東京海洋大学(旧東京商船大学)がこの町では有名です。この大学が開発されたら駅前しかも東京駅まで2駅。とんでもないことがおきそうですね。
しかしこの大学の性格上、海沿いになければならないでしょうから簡単ではないでしょうけど…もしかしたらその予定があったりするかもしれません。尤も少し日本と離れているので最近の事情まではわからないのですが…。ただ越中島は門前仲町が近いので買い物等は、さほど不便はないですね。
次に潮見。以前からか大規模開発があると聞いてはいましたが、その後どうなったのでしょうか?もちろん京葉線開発以来集合住宅がどんどんと出来てきてはいます。
いずれにせよ上記湾岸地区はまだまだ工業地域が多くを占めますので、この先まだまだ変化していくことが期待できます。問題は少子化における空室状況が惨憺たる状況になってきていることです。そのあたりの事も近いうちに触れていきたいと思います
上記に掲げた湾岸地域は、以前であればあまり居住するような場所ではありませんでした。木更津方面に至るまで多くの工場が占めていた場所です。
その後の大規模開発という変化の中、古くからこのあたりに土地を持っていた方は、不便さとの戦い後、土地長者になり大きく変貌を遂げました。
前置きが長くなりましたが、地価の上昇においては家だけが建てばよいということではありません。南砂を例に取ると、もし住宅だけの分譲地ばかりであれば、ここまで発展しなかったしょう。
『SUNAMO』を代表する大型ショッピングセンター等生活利便性が高くなる施設(商店街含め)が
併設されることが必須条件です。
バンコクでも同様のことが言えます。残念ながらバンコクは湾岸地域と呼ばれている場所はありません。
よってその町の伸び指数はショッピングモールと共に変化していきます。
タイ人の場合、今までは路線の絶対数が少なかったことにより、特に目立った駅前志向というのはありませんでした。
例えば帰宅時であればBTSやMRTで最寄り駅まで到達し、そこからバスやソンテウ(乗り合いミニトラック)に乗り、最終的にバイクタクシーに乗るといったことはさせて珍しくありません。中には最初から電車が通ってないところに住んでいて、ずっとバスという方も今でも多く見受けられます。

※ソンテウ
雨季は交通渋滞が頻繁に起きますので、大きな苦労を背負うわけですが、それが当然として生まれ育っていますので、大きな苦にはなっていない様子です。
ましてや弊社のあるアソークは中心中の中心地で、通ってくる社員たちの大半はバンコク区内に居住しています。本来であればそういった地域でも都会と位置づけられるのですが、路線数の少なさにローカル地域と称されてしまいます。それが今後大規模な変貌を遂げていきます。
近くにショッピングモールがあれば駅の距離なんて関係ありません。若しくはコンドミニアム内にショッピングモールを併設するなんていうのはよくある光景です。

※モール併設型コンド
よってバンコクには郊外やローカル地域に行っても、いたるところで大型ショッピングモールが目立っています。そして賑わっています。
しかし昨今、その趣向に変化が起きてきました。次回②でそのあたりを説明させていただきます。
最後にこのシリーズが№いくつまで行くかはわかりません。次の②で終了するかもしれませんし、頭の中に色々と巡ってきて少し長くなるかもしれませんが、
結論を先に書かせていただきます。
東京23区内では電車があって当たり前の状況です。また新たに電車が開通すればその地価は上昇してきました。バンコクではそれがまだ少なく、今まさに拡張していこうとしている最中です。極端な言い方をすればその近辺であれば上昇しないわけがない。
そして今タイ人の考え方に変化がおきてきています。
次回をお楽しみに!

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