パタヤのコンドミニアム市場動向について

今回はパタヤのコンドミニアム市場についてご紹介します。
wongamat beach
Wongamat Beach

ここで提示する数値に関しては、全て外資系不動産会社大手であるCOLLIERS INTERNATIONALの2014年上半期のリサーチに基づいております。外資系大手不動産会社の調査能力はさすがに高いものがあり、過去のデータもきっちり管理されている点には脱帽させられてしまいます。恥ずかしながら弊社ではこれだけのデータを所有しておらず、国際的に展開する不動産関連企業の一夕の長を強く感じます。これを利用しない手はないですね?

パタヤのコンドミニアム供給指数
下のグラフ(Supply)はパタヤ全体でのコンドミニアムでの供給ユニット数を示しています。棒グラフの下部の濃い色は累積供給ユニット数、上部の薄い色は該当年の新規完成ユニット数を表しています。
Lpattaya_culative_condo
出典:Colliers International Thailand Research

調査開始の1990年時点の約1,000ユニットから、2014年終了時点で約61,000ユニット(61倍)、2015年終了時点で約82,000ユニット(82倍)、と供給ユニット数が急拡大していることが見て取れます。2014年の完成ユニット数だけ見ても、上半期で1,300ユニットが完成し登記されました。下半期は7,300ユニットが新たに完成する見込み(2014年上半期のリサーチ)となっています。そして2015年は更に15,000ユニット以上が完成する見通しです。これはかなりインパクトのある数値ですね。恐るべき伸びです。

新規売り出しのコンドミニアムユニット数をロケーション別に見る 2012年~2014年上半期
下のグラフ(Units Launched by Half Year and Location as of 1H 2014)は、2012年~2014年上半期にかけて新規に売り出されたコンドミニアムのユニット数をエリア別に半年毎に示しています。

Lpattaya_units_launched
出典:Colliers International Thailand Research

エリアは、北からWongamat、Pattaya、Pratumanak、Jomtien、Na Jomtienに区分されています。地理劇な位置関係は下図(Zoning Map)を参照下さい。

Lpattaya_soning_map
出典:Colliers International Thailand Research

2014年の上半期の新規に売り出されたユニット数は3,800となっており、2013年下半期から60%程減少に転じています。これは2013年第4四半期に起きた政治的混乱がマーケットを直撃し、販売が激減した結果、多くのコンドミニアムディベロッパーが売れ残り物件を抱えた抱えた為、2014年上半期は新規プロジェクトの販売開始を見合わせ延期した事が要因となっています。

では、軍部が政権を掌握し、一時的にでも政治的安定を見たその後はどうなっているのでしょうか?

新規完成(供給)のコンドミニアムをロケーション別に見る 2014年下半期~2016年見通し
下のグラフ(Future Supply Schedules to be completed in Each Location from 2H 2014 to 2016 as of 1H 2014)は、タイトル通り2014年下半期から2016年までに新規に完成(供給)するコンドミニアムの予測ユニット数を半年毎に示しています。

Lpattaya_future_supply
出典:Colliers International Thailand Research

2014年下半期は建設中の7,300ユニットが完成する見通しで大幅に市況が改善する模様となっています。

エリア別に見るとWongamatで最大となっていますが、2015、16年はJomtien地区が他のエリアを大きく凌いでいることがわかります。
パタヤのコンドミニアムの販売率は?

下のグラフ(Demand)は2014年上半期におけるパタヤのコンドミニアムの販売達成率を示しています。全体では73%で、2013年下半期よりは若干の改善が見られるもののまだ政治不安がマーケットに影を落とし低迷が続いています。6月頃から購買希望者が増え始めている為、このリサーチでは2014年下半期には3~5%の改善が見られると推測しています。

Lpattaya_average_take_up
出典:Colliers International Thailand Research

パタヤのコンドミニアムの平均販売価格は?
下のグラフ(Prices)は、2014年上半期におけるパタヤのコンドミニアムの平米当たりの販売価格をエリア毎に示しています。全体の平均では平米当たり62,000バーツとなっています。Jomtien地区が48,500バーツと他地域において低くなっているのは、1.5ミリオンバーツ前後の低~中級クラスの大型物件を大量販売した為です。大きなプールを設えたテーマパークのような低層物件が、海岸線からは離れたロケーションに多く建てられ、販売価格が安い事から多くのタイ人と低予算の外国人が購入しました。

Lpattaya_average_prices
出典:Colliers International Thailand Research

今後のマーケット動向は?
このColliers Internationalのレポートでは、2013年下半期から2014年上半期にかけては政治的不安により消費者が買い控えた為にコンドミニアム市場の景況感が悪化したが、2014年下半期は3~5%程販売率が伸びると推測しその後も改善は続く、と締めくくっています。

これは概ね正しいと考察しますが、2014年末近くになり、以前から実施していたウクライナ問題によるロシアへの経済制裁に原油価格の暴落問題が重なりロシア経済を直撃、ロシア通貨ルーブルが暴落するといった事変が発生しました。ここ数年のパタヤでのコンドミニアムを購入していた外国人はロシア人が圧倒的に多かった為、これはパタヤのコンドミニアム市場に大きく影響を与えると見られています。ロシア人居住者と旅行者は(旅行者だけで見れば中国人の方が実際多いのですが)他外国人に比較して圧倒的に多い事は、パタヤに住めば良くわかります。どこの土産物屋、飲食店に行っても必ずロシア語を目にします。僕が住んでいるコンドミニアムも表記はタイ語、英語、ロシア語となっています。

ロシア人購入者の需要が減った為にその需要を当て込んでいたプロジェクトが大幅にディスカウントしている、といったニュースも確かに耳にするようになりました。この要因がパタヤのコンドミニアム市場全体にどのような打撃を与えるのかわかるまでまだしばらく時間がかかりそうですが、パタヤにとって2015年は困難な船出となってしまったことは紛れもない事実でしょう。

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